くしゃみ大好き!

くしゃみにとらわれたある男の半生を綴る

自分で出せた!

 以前のブログで書いたとおり、小学校時代はどうやって自分でくしゃみを出せるかに情熱を注いだ。しょっちゅうくしゃみをしている友人をうらやましく思っては、いろんな方法を試したがなかなか出ない。

 羽か何かで鼻先をくすぐるけど全然出ない。コショウを吸ってみるけどこれも鼻が痛くなるだけであまり出ない(ただ、ムズムズ感はあって、ときどきだがくしゃみが出たことはある。)。なんか児童向けの漫画で滝に打たれてた女性がくしゃみが止まらなくなるのを読んで、自分も試してみようと冷水を浴びたりしたけど当然出ない。子供心ながらに考えては試す日々が続いた。

 ある日のこと。自分の家で天井にぶら下がっている照明を低い位置でつけたり消したりするのにビニールのひもで延長している照明があった。くしゃみをするためにそのビニールのひもを自分の鼻の穴の中に入れたのだ。いままでは鼻先をくすぐるだけだったけど、そのときはぐいっと奥に入れてみた。するとくしゃみするときのムズムズ感が来た。これはと思って窓際に行って太陽の方を向いてみた。

 「ハックシィ!」

 出たーーーーーーーーーー!!!

 照明のひもを少し切って、窓際に行って太陽を見ながら、ひもを思いっきり鼻の中に入れてくすぐってみた。

 「ハックシィ!」

 また出たーーーーーーー!!!

 夢にまで見た、自由にくしゃみを出せること。その方法がこのときようやく分かったのだ。自分はその行為を取り憑かれたようにずっとくしゃみを出し続けた。もう嬉しくてたまらないし爽快でたまらない。よくよく試してみると太陽を見ずともくしゃみは出る。そして鏡の前でまじまじと自分のくしゃみを見た。出た瞬間は目を閉じるので当然見ることはできないのだが、出る前の表情は確認できた。このとき、自分はくしゃみが出る前の呼入期で鼻の穴が広がるんだというのが分かった(後で分かるのだが、このタイプはあまり居ない)。自由にくしゃみを出せるようになったが変な副作用があった。それは紙縒りを使用して鼻が慣れてくるのか、通常の生活で全くくしゃみが出なくなった。当然紙縒りを使うと出るので出したいときには困らないし、さらに言えば私生活でくしゃみが出なくて困ることなどないのだが。少し寂しかった。

 何はともかく、この日、ひとつの夢が自分の中で叶った。小さいころから中年になった今までくしゃみに関する欲求を満たすために沢山のことをしてきたけど、これがその最初になったと思う。


P.S. 太陽とくしゃみの関係についてはまた後日別の記事で。