くしゃみ大好き!

くしゃみにとらわれたある男の半生を綴る

切ないくしゃみの思い出

の二人目に書いた子で、なんかいろいろ思い出したのでもう少し詳しく書いてみる。
ちょっと内容重複するけど。

自分が中学生の頃の話。
一緒のクラスになった女子のOさん。
背は高め、眼鏡をかけてどちらかといえば美人だったと思う。
鼻は大きかったけど形が整っていて、その子が上を見上げた時、きれいなハの字の鼻の穴が見えた。
もしかしたら自分のタイプだったかもしれない。
どんなくしゃみをするんだろうと授業中とか見てたけどなかなかしてくれなかった。

ある日、登校時に雨が降って、その娘が髪を雨で濡らしたまま授業を受けていた。
すると、「ックシュゥゥン!」という割と大き目の飛沫が飛ぶような見事なウェットなくしゃみが聞こえてきた。
それがOさんの初めて聞いたくしゃみ。かなり好みのタイプ。

また別の日、街中を何気なく徘徊してたら駅のほうに遠見でAさんを発見。
特に挨拶とかしなかったけど、後日下校時に話す機会があって、
「あの日、街中にいたよね。」とか少し会話した。

しばらくすると、割と話す女子グループから声をかけられ、
「Oさんね、**君(僕のこと)のこと好きらしいよ」と言われた。
そのグループはキャッキャ騒いでたけど、そんなこと突然言われてもどうしていいかわからず「ふーん」とだけ答えた。

Oさんはめったにくしゃみをしなかった。1年間同じクラスだったけど、その子がくしゃみをしたのを聞いたのは3回だけ。そのどれもが大き目のウェットなくしゃみ。
3回目のはよく覚えている。冬のある日、学校に登行すると、Aさんが可愛い真っ赤な鼻をして、コート姿で机に座っていた。ホームルームの前に自分も机に座っていたところ、「ックシュゥゥン!」と巨大なくしゃみ。くしゃみの方向を見るとOさんが下を向いて手で口を押えていた。その抑えていた手を離すと、そこに唾液なのか鼻水なのかが手についてびろーんと伸びていた。注視したかったけど、なんか目が合うのも気まずかったのですぐに目をそらした。

次の年、別々のクラスになった。
その子はまた別の男子を好きになったらしく、そんな噂も聞こえてきた。
中学を卒業し、別々の高校になりそれっきり会うことはなかった。

時は過ぎていき、実家に帰る機会があって家族と話していると、小学校のときに同級生だった別の女の子が病気で亡くなったと聞いた。よく話していた仲の良い(自分はそう思っていた)女の子で、いてもたってもいられなくなり、お線香をあげにその子の家にいった。親御さんとは少しだが面識もあったので、小学校のときの話に花を咲かせていると、

思ってもみなかったことを聞いた。
「そういえばねぇ。中学校のときに同じクラスだったOさん。あの子も亡くなったのよ。自殺だったみたい。」
なんかそのとき驚いたかどうかも覚えていない。さらっと流してしまったのだが、よくよく考えてみたらショッキングなことだ。

もう少しあの子のくしゃみ聞きたかったとか、不謹慎かもしれないけど、少しなんていうかそんなくしゃみの思い出。